麻薬覚せい剤原料の廃棄方法

期限切れの”麻薬”と”覚せい剤原料”を廃棄しに、県庁へ行ってきました。

保健所職員が立ち合いのもとで麻薬を廃棄するのは、これで6回目です。

6回目とはいえ、県庁の人に”麻薬帳簿をチェックされる”のはいつも緊張します!

今回の実例をもとに、”麻薬”と”覚せい剤原料”を廃棄する”準備”、”手順”、”注意点”を解説します。

麻薬・覚せい剤原料の廃棄方法は2パターンある

麻薬・覚せい剤原料の廃棄は、

  • 調剤済み
  • 調剤前

によって、手続きが異なってきます。

  • 調剤済み(患者の死亡や処方変更で、不要になり返却された場合)
    • 店舗内の他のスタッフの立ち合いのもとで廃棄する
      廃棄方法は、医療法麻薬廃棄方法参照。
    • 廃棄後、30日以内に調剤済麻薬廃棄届を提出する。
      ※調剤済麻薬廃棄届の様式は、各市町村の保健所のHPにあります。
      ※Googleで、「調剤済麻薬廃棄届 市町村名」で検索。
  • 調剤前(”期限切れ”や”経過措置が終了”の場合)
    • 麻薬なら”麻薬廃棄届”、覚せい剤原料なら”覚せい剤原料廃棄届”を作成し、提出します。
    • 保健所職員の立ち合いのもとで、廃棄処分をします。

今回は、”調剤前”の麻薬と覚せい剤原料の廃棄方法について解説します。

    事前準備

    廃棄届を出した麻薬・覚せい剤原料

    今回廃棄したものは、次の麻薬と覚せい剤原料ですが、「坐剤・散剤・テープ・錠剤・粉砕できない錠剤」と全剤型を廃棄しました。

    • 麻薬
      • アンペック坐剤10mg 10個(期限切れ)
      • オキノーム散20mg 16包(期限切れ)
      • フェントステープ2mg 14枚(期限切れ)
      • オキシコンチン錠10mg 9錠(経過措置終了)
      • タペンタ錠25mg 20錠(期限切れ)
    • 覚せい剤原料
      • エフピーOD錠2.5mg 9錠(期限切れ)

    まずは、

    ”麻薬廃棄届”、”覚せい剤原料廃棄届”を作成し、提出します。

    様式は、各地域の保健所のホームページにWORDファイルがあるので、ダウンロードします。

    Googleで「麻薬廃棄届 市町村名」、「覚せい剤原料廃棄届 市町村名」で検索すれば、検索結果の上の方に出てきます。

    記載する項目は、次のようなものです。
    (品名は、添付文書に記載されている文言をそのまま記載します)

    麻薬廃棄届に記載すること

    免許証の番号 ”麻薬小売業者の免許証”に記載
    免許年月日 ”麻薬小売業者の免許証”に記載の
    「有効期間開始日」(交付日でないので注意)
    免許の種類 薬局なら
    「麻薬小売業者免許」
    氏名 ”麻薬小売業者の免許証”に記載
    麻薬業務所(所在地、名称) 薬局店舗の所在地と名称
    廃棄しようとする麻薬(品名) 添付文書に記載のとおりの名称
    例:(正)オキシコドン徐放カプセル5mg「テルモ」
      (誤)オキシコドンカプセル徐放5mg「テルモ」
    廃棄しようとする麻薬(数量) 〇〇錠、〇〇包と記載
    オキノーム散20mg⇒10

    廃棄の年月日

    空欄で提出
    (廃棄日当日に記載する)
    廃棄の場所 空欄で提出
    (廃棄日当日に記載する)
    廃棄の方法 各保健所に確認
    医療法麻薬廃棄方法に書かれているとおりに記載する
    廃棄の理由 「期限切れのため」、「調剤中の破損のため」など
    住所・氏名 薬局開設者の住所・氏名を記載。

     

    覚せい剤原料廃棄届に記載すること

      廃棄しようとする覚醒剤原料の
      品目及び数量
      • 品目
        添付文書に記載のとおりの名称
        例:(正)エフピーOD錠2.5
          (誤)エフピーOD2.5mg
      • 数量
        〇〇錠、〇〇包と記載
        例:エフピーOD錠2.5⇒5
      廃棄の日時 空欄で提出
      (廃棄日当日に記載する)
      廃棄の場所 空欄で提出
      (廃棄日当日に記載する)
      廃棄の事由 「期限切れのため」、「調剤中の破損のため」など
      業務所所在地及び名称 薬局店舗の”所在地”と”名称”
      保管場所が業務所と異なる場合
      の所在地名称
      薬局店舗の覚せい剤原料なら「空欄」
      連絡先及び担当者
      • 担当者氏名⇒廃棄する店舗スタッフの氏名
      • 連絡先電話番号⇒店舗の電話番号、廃棄するスタッフの電話番号など

       


      廃棄届の提出時に、提出1か月後くらいに廃棄担当者から電話があると言われていました。

      実際には、2~3日後に、保健所職員から電話がありました。
      (意外と早かったです)

      廃棄日の日時を決める電話

      廃棄日の日時を決める電話で、次のようなやり取りでした。

      職員:健康福祉部薬務課の〇〇ですが、麻薬廃棄届を受け付けました。
          つきましては、麻薬廃棄で薬務課までお越しいただきたく、お電話しました。
          ご希望の日時はありますか?

      私 :かしこまりました。午前9:00にお伺いしたいのですが、いつのお日にちなら大丈夫でしょうか?

      職員:午前9:00からでしたら、〇月〇日はいかがでしょうか?

      私 :では、〇月〇日でお願いします。

      職員:〇月〇日 9:00~で、受け付けました。
          当日は、ご自身の印鑑、廃棄する麻薬、麻薬帳簿を持参してください。

      以上のような事務的な予約電話があります。

      事前準備

      事前にするべき準備は、

      • 帳簿と廃棄薬の数が合っているかを確認する。
      • ”廃棄薬”を分けておく。
        私はいつも、廃棄薬を大きめのビニール袋に入れます。

      帳簿と廃棄薬の数は、きっちり合っていました。
      「この段階で、数が合っていなかったら、あせりまくる!」
      「普段から、きちんと帳簿をつけていてよかった~!」と思いました。

      廃棄日当日の出発前

      持ち出す帳簿のコピーを取る
      (帳簿を持って行っている間に、その帳簿の薬が処方されるかもしれないため。)

      • 印鑑
      • 廃棄麻薬の帳簿
      • 廃棄麻薬
      • 廃棄後の”空のPTPシート”や”空の包装”を持ち帰るためのビニール袋

      を持って出発。

      廃棄日当日(薬務課にて)

      廃棄の流れ(書類~廃棄まで)

      保健所職員が主体で廃棄処理や事務手続きをしてくれます。
      (店舗で麻薬廃棄をする場合は、廃棄処理は自分が対応し、保健所職員が横で確認しているケースが多いです)
      (廃棄は、保健所職員が主体なのか、自分が主体なのかは、市町村によって違うようです)

      実施することは、

      1. ”廃棄届に書かれた数量”と”実際に廃棄する麻薬数量”が合っているかの確認
      2. 帳簿に廃棄数量の記載と保健所職員の押印
      3. 廃棄届に管理薬剤師と保健所職員の確認印
      4. 廃棄処理

      廃棄方法

      廃棄方法は、以下のとおり。
      ※詳しくは、医療用麻薬廃棄方法の医療用麻薬廃棄方法推奨例一覧(PDF)に薬品名ごとに書かれています。

      坐薬

      1. 熱湯の入った洗面器に坐薬を入れる。
      2. 台所用洗剤を入れ、かき回しながら坐薬を乳化状態にする。
      3. 完全に溶けてから、流しに廃棄する。

      錠剤

      1. ミキサーで粉砕する。
      2. 熱湯の入った洗面器に、粉砕した錠剤を入れる。
      3. 熱湯中に完全に分散してから、流しに廃棄する。

      粉砕できない錠剤(TR錠、タペンタ錠など)

      ※TR錠、タペンタ錠は、乱用防止のためにハンマーでも砕けないくらい硬いため、他の錠剤とは廃棄方法が異なります。

      1. ガムテープに錠剤を載せる。
      2. 錠剤を黒インクで塗り、刻印が判別できないようにする。
      3. ガムテープでくるみ、錠剤を見えない状態にしてから、通常の医薬品と同様に廃棄する。

      貼付剤

      1. ライナーをはがす。
      2. 粘着面を内側にして二つ折りにする。
      3. ハサミで切り刻む。

      散剤、液剤

      水を流しながら、流しに廃棄する。

      廃棄後

      廃棄が終われば、”空のPTPシート”や”空の包装”を持ち帰るように言われます。

      持ち帰り用の”大きめのビニール袋”を忘れないようにします。

      ※はじめての麻薬廃棄したときは、ビニール袋を持っていなかったので、持って行ったバッグに直接入れました。
       バッグに麻薬の空包装を入れて帰るのは、めっちゃ嫌だったので、必ずビニール袋を持って行きます。

      まとめ

      普段から帳簿の管理をしっかりしていれば、廃棄前の数チェックで慌てることはありません。

      また、期限が切れてから、1ヵ月以内に麻薬廃棄をすることになっているので、麻薬の期限管理は定期的に行いましょう。

      私の店舗では、年1回、麻薬在庫数量を報告する「麻薬年間届」作成時に、期限チェックをしています。
      ※期限チェックの方法は、「期限が1年以下のものは、リストに書き出し、いつでも期限が確認できるように」しています。

      今回のように「保健所で廃棄するパターン」と、「店舗で廃棄するパターン」があり、各保健所によって違うようです。

      店舗で廃棄する場合は、廃棄のついでに、

      • 麻薬、覚せい剤原料の帳簿簿と在庫数の整合性チェック
        だけでなく、
      • 管理記録簿
      • 掲示物

      などもチェックされるので、抜けがないかの事前チェックが重要です。

      最後に、麻薬と覚醒剤の廃棄についての、法令を以下に紹介します。

      麻薬の廃棄について
      第6 廃棄(法第29条・法第35条第2項)
      麻薬を廃棄する場合は、麻薬の品名、数量等について、都道府県知事に「麻薬廃棄届」により届け出て、麻薬取締員等の立会いの下に行なわなければなりません。また、麻薬処方せんにより調剤された麻薬については、廃棄後 30 日以内に都道府県知事に「調剤済麻薬廃棄届」により届け出なければなりません。

      麻薬の交付を受けた患者、又は患者の家族から不要になった麻薬を譲り受けた場合、譲り受けた麻薬をその都度、若しくはある程度まとまった段階で、管理薬剤師が他の従事者の立ち会いの下で廃棄し、廃棄後 30 日以内に「調剤済麻薬廃棄届」を都道府県知事に提出してください。(法第 24 条第 1 項・第 35 条第2項)

      薬局における麻薬管理マニュアル

      覚せい剤原料の廃棄について
      第9 廃棄(法第 30 条の 13)
      覚醒剤原料を廃棄する場合は、覚醒剤原料の品名、数量等について、都道府県知事に「覚醒剤原料廃棄届出書(様式4)」により事前の届出を行った上で、都道府県職員等の立会いの下に廃棄しなければなりません。

      薬剤師が調剤した医薬品覚醒剤原料を廃棄する場合には、都道府県職員等の立会いは不要ですが、廃棄後 30 日以内に都道府県知事に「交付又は調剤済みの医薬品である覚醒剤原料廃棄届出書(様式5)」により届け出なければなりません。

      病院・診療所・飼育動物診療施設・薬局における覚醒剤原料取扱いの手引き(覚醒剤取締法上の取扱い)