ピッキングをはじめてすぐは、見慣れない名前の薬ばかりですよね。

そんな、「ただでさえ見慣れない薬を間違わずにピッキングする」のは、とんでもなく大変なことです。

でも、1週間、2週間とピッキングを続けていくうちに、だんだんと速く正確になってくるものです。

しかし、なかなかピッキングが上達せずに、

  • ピッキングが遅い
  • ピッキングミスばかり

なら、自分のピッキングのやり方が間違っている可能性が高いです。

とくに、思考停止でピッキングをしていると、なかなか上達しないものです。
(私が、まさに、この思考停止でピッキングをしていました。だから、ピッキングになれるのに2ヵ月もかかってしまいました)

もし、自分のピッキングが”遅い・ミスが多い”なら、「原因は何なのか?」を考えながらピッキングをすると、速く・正確なピッキングができるようになります。

この記事では、

  • ピッキングが遅く・ミスが多い原因は何なのか?
  • その対策は?

を悩み別に解説しました。

何度も読み返しながら、すぐに実践してください。

悩み1:処方箋を見ても、薬品名・用法・用量がなかなか覚えられない

薬を見慣れていなければ、処方箋を見ても薬品名・用法・用量がなかなか覚えられないのも無理はありません。

薬を見慣れていない初心者薬剤師にとっては、薬品名は暗号のようなもの。

そんな暗号のような薬品名を覚えるって、なかなか覚えられないでしょう。

処方箋に書かれた薬を覚えるコツは、

  • 店舗の採用薬の薬品名・剤型・規格をセットで覚えておく
  • 使用頻度の多い薬から覚える
    使用頻度は、レセコンで出ます
    もし、レセコンで出せないのなら、タナの薬品名を片っ端から覚えていきましょう

例を出すと、

タケプロンOD錠15mgなら、

  • タケプロン→薬品名
  • OD錠→剤型
  • 15mg→規格

をセットで覚えていきましょう。

悩み2:薬を探すのに時間がかかる

薬を探している時間は無駄です。

「保管場所の一覧表」をすぐに見ましょう。

場所の一覧表を見ることは、「カンニングしているみたい」と思われる新人薬剤師がいますが、待合で患者さんが待っているので、今するべきピッキングを”速く”、”正確に”することを考えるべきです。

そして、いちどピッキングをした薬の場所は、覚えましょう。

私なりの覚え方のコツを3つ紹介します。

興味が持てそうな薬から覚える

”好きなPTPの色”や、”気になる薬の名称”など、興味が持てそうな薬から覚えます。

例えば、

  • きれいなパープル色のPTP→ディオバン錠80mg
  • 女の子の名前みたい→リリカ
  • 桜の花びらの形→フルイトラン錠

いきなり聞きなれない薬を覚えるのは無理です。

しかし、色や名称など”興味を持てそうな薬”から覚えていくと、覚えるのが楽しくなります。

そうやって、”1つずつ”薬を覚えていけば、だんだんと覚える速さが増えていきます。

自分なりに「薬と場所の一覧」をまとめる

毎日、いろんな薬をピッキングをしていくと、日を重ねるごとに、薬の名前も場所もだんだんと覚えていくでしょう。

だけど、何回ピッキングをしても、ぜんぜん場所が覚えられない薬も出てきます。

この「何回ピッキングをしても、ぜんぜん場所が覚えられない」というのは、頭にいろんな情報をつめこみ過ぎて、すでに頭の中がごちゃごちゃになっているためです。

こういうときは、自分なりに「薬と場所の一覧表」を作ってみましょう。

頭の中が整理されます。

一覧表といっても、いちどに全部のタナの一覧表を作るのは大変なので、「劇薬の一部のタナだけ」といった”一部のタナ”だけでOKです。

タナ1つ分の薬品名を紙に書くのに10分もかかりません。

「この薬だけはいつも場所が分からない!」というときが来たら、「その薬があるタナの一覧表」をササッと紙に書くこと。

薬品名と場所を覚えるのには、効果絶大ですよ。

たまに、薬のタナ全体を見渡してみる

ピッキングをしているときの視野は狭いです。

だから余計に薬を見つけにくくなるのです。

たまには、広い視野で、タナ全体を見渡してみましょう。

そうすると、「この薬はここにあったんだ!」という新たな発見があり、”薬品名と場所”が記憶に残りやすくなります。

”いつもピッキングをしているときの狭い視野”と、”タナ全体を見渡す広い視野”では、見え方が全然違ってくるものです。

タナ全体を見渡すのに、1分もかかりません。

午前中の調剤が終了して、昼休憩に入る前に、1分間だけ、タナ全体を見渡してみてください。

その1分間で、「あの薬は、ここにあったよね!」と、午前中のピッキングの復習ができます。

悩み3:どれだけの薬をピッキングすればいいのかが、すぐに計算できない。

暗算よりも電卓を信じる

とにかく電卓を使ってください。

私が新人のころは、「暗算よりも電卓を使え」と言われてきました。

「これくらいの暗算ぐらいデキるわ!」って思っていましたが、

今になって「暗算より電卓を使う」理由が分かりました。

ピッキングというのは、「単に処方箋に書かれた数の薬を取ってくる」だけではないのです。

「併用禁忌薬」や「この疾患には使えない薬が処方されている」など、ピッキング以外にも考えることがたくさんあるのです。

だから、ピッキングの数の計算は、電卓にまかせて、自分は、薬剤師にしかできない処方箋チェックをするということです。

そのためにも、今のうちから電卓で計算をするクセをつけておくべきです。

電卓は、百均の電卓でもいいですし、余り計算電卓を使えば、「漢方薬90包ピッキング→1束21包×4束 + 6包」の計算が一瞬でできます。

よく処方されるパターンを覚えてしまう。

ピッキング数は、薬品名ではなくて、「1日量×日数」で決まります。

この「用量×日数」のパターンを覚えてしまうのがコツです。

例えば、

  • ロキソニン錠60mg  3錠分3 14日分 ⇒42錠
  • レバミピド錠100mg 3錠分3 14日分 ⇒42錠

薬の種類にかかわらず、「1日量×日数=ピッキング数」になっていることが分かると思います。

この「用量×日数」のパターンを覚えてしまいましょう。

悩み4:残った端数をどう組み合わせればいいのか?

タナに残ったPTP端数を組みあわせるパターンを決めておく

タナに6錠だけ残っている→21錠にするために、この6錠をどう使えばいいのだろう?

調剤内規(ピッキングのルール)には、「タナに残っている端数を先に使う」と書かれていることがよくあります。

しかし、「端数を先に使う」と言われても、「この端数をどう使えばいいのか?」が分からず、「端数の使い方を考えること」がピッキングが遅くなる原因にもなります。

”端数をすぐに使う”ための対策は、「自分なりに端数を組み合わせる”パターン”を決めておく」ことです。

パターンの例は、

  • 21錠ピッキング
    • 5錠+6錠+10錠
    • 10錠+10錠+1錠
  • 28錠ピッキング
    • 10錠+10錠+8錠<
    • 10錠+9錠+9錠
  • 35錠ピッキング
    • 10錠+10錠+10錠+5錠
    • 10錠+10錠+7錠+8錠
  • 42錠ピッキング
    • 10錠+10錠+10錠+10錠+2錠
    • 10錠+10錠+10錠+6錠+6錠

以上のパターンを決めた上で、実際に21錠をピッキングする場合を解説します。

ピッキング数:21錠

タナに3錠だけ残っている

5錠(タナの3錠+2錠)+6錠+10錠 = 21錠

このように、自分なりに”組みあわせるパターン”を決めておけば、残った端数をかんたんに使うことができます。

漢方薬などの粉の分包品は、先に、大きな束が何束必要かを計算してから、端数を計算する

例えば、漢方薬180包をピッキングする場合、

ツムラ漢方薬は、1束21包です。

まず、21包が何束必要かを計算します。

180包なら、21包×8束 + 端数が必要です。

次に、端数を計算します。

180包ー21包×8束(168包)=12包

この12包が必要な端数になります。

180包ピッキングのためには、”21包が8束””12包”の端数が必要になります。

こういった「どれだけの端数が必要になるのか?」の計算は、余り電卓を使えば、かんたんに計算ができます。

悩み5:ピッキングミスが減らない

思い込みの調剤をせずに、処方箋を確実に見る

処方箋さえしっかり確認すれば、ミスは起こらないはずです。

処方箋を”見る”というより、「処方箋を読む」ようにしましょう。

思い込み調剤の例としては、

規格ちがいのピッキングミス
  • 処方
    ニフェジピンCR錠40mg
  • ピッキングミスをする人の思考
    「いつものニフェジピンね!」と思いながら、いつも処方されているニフェジピンCR錠20mgをピッキングしてしまう。

 

用法ちがいのピッキングミス
  • 処方
    パリエット錠10mg 1回1錠 1日
  • ピッキングミスをする人の思考
    「いつものパリエットね!」と思いながら、いつも処方されている「1日回」でピッキングをしていまう。

 

単に「処方箋を見る」という意識だけだと、処方内容が理解できていません。

だけど、「処方箋を読む」と意識すると、処方内容を理解できます。

  • 処方箋を見る=処方内容を目で追っているだけで、頭を使っていない→思考停止の状態
  • 処方箋を読む=処方内容を頭で理解して考えている→思考を働かせている状態

処方箋は見るものではありません、読むものです。

悩み6:ピッキングが遅い

これは、”練習あるのみ”です。

空き時間に、処方箋をかりてピッキングの練習をしましょう。

「外来処方のピッキング」よりも、「空き時間にするピッキング」の方が、落ち着いてじっくりとできます。

そして、単にピッキングをするだけではなくて、ピッキングが遅い原因を考えてみましょう。

”ピッキングが遅い原因”の例を紹介します。

  • ピッキングするべき数の計算が遅い
    →電卓を使う。よく処方されるパターンを覚えてしまう。
    詳しくは、悩み3。
  • 場所が分からない
    →タナの一覧表をすぐに見る。いちどピッキングした薬の場所は覚える。
     詳しくは、悩み2
  • 輪ゴムを”くくる”のが遅い
    →大きめの輪ゴムを使って練習しましょう。
     小さい輪ゴムは、止めにくいだけでなく、患者さんも輪ゴムを外しにくいです。

思考停止で練習するのではなくて「ピッキングが遅い原因は何なのか?」を考えて練習すると、速くてミスのないピッキングをマスターできますよ。

私が薬局に転職してすぐのころ。

私は、2か月間もピッキングがぜんぜん出来なくて、退職させられそうになっていました。

もう窮地に追われていたため、自分の休憩時間を使ってピッキングの練習をしていました。

”休憩時間を使った”結果、私の”やる気”を周りが評価してくれるようになり、周りからいろんなことを教えてもらえるようになりました。

今思えば、この「休憩時間を使って練習する」というやり方は、めっちゃよかったなと思います。

当時は「ピッキングができないと、辞めなあかん!」って、必死のパッチでしたけど。。。

 

まとめ

本記事では、ありがちな”ピッキングの悩み”と”その対策”を解説しました。

ピッキングは、実際に手を動かして、はじめて上達するものです。

とはいえ、やみくもに手を動かしているだけではダメです。

「自分のピッキングが遅い・ミスる原因は何なのか?」を考えながら手を動かさないとぜんぜん上達しません。

何をどう考えていけばいいのかは、本記事で詳しく解説したので、何度も読み返しつつ、すぐに実践してください。

「実践する→原因を考える→実践する→・・・」

これの繰り返しでピッキングが上達していきます。

ピッキング調剤のコツと3つの手順では、ピッキング調剤の基礎・基本を解説しています。

本記事とセットで読むと、ピッキング調剤に必要な知識が身につき、「薬剤師にとってのピッキングのやり方」の理解が深まります。

そして、ピッキングは薬剤師の登竜門です。

ピッキングをマスターして、次は監査に進みましょう。